新型コロナウイルス感染症の流行により、面会の出来ない病院、施設が多くみられます。
普段面会に来ない家族も、こーゆー時に限って面会を要求してきたり、、、
(ちょっと愚痴ってごめんなさい、、、でも、医療従事者なら共感していただけるかと、、、)
患者さんにとって家族は生きがいなので、会えないことで精神的に落ち込んでしまったり、、、
もともと、インフルエンザの流行期には、面会時間の短縮や、面会方法の変更などの対策をとっていたのですが、それではまだまだ不十分。。。
この先も、感染対策の継続が必要な状況が続くことが予測されるため、今回、オンライン面会を導入することになりました!
しかし、オンライン面会の導入、運用は、思っていたよりも容易なものではありませんでした。
これから導入を検討されている方の参考になればと思います。
今までの面会制限
新型コロナウイルスが流行する前は、インフルエンザ流行期に面会制限を行なっていました。
面会制限の期間は、10月からインフルエンザの流行が終わるまでと、少し早めから面会制限を実施しています。
「まだインフルエンザなんて流行ってないじゃないか!!」
と、言われることが多々ありますが、流行してからの面会制限では遅いと考えています。
面会制限とは、面会が全くできないわけではなく、通常より面会可能時間を短縮し、個々の面会時間も短縮していただくようご協力を求めています。
それに加え、面会前に検温を実施し、発熱や風邪症状のある方、マスク着用にご協力いただけない方は面会をお断りさせていただきます。
「インフルエンザの予防注射してるから大丈夫だろ!!」
と、誤った理解をされている方や、ご協力をいただけない方もいらっしゃいます。
その場合は、他の患者さんを守るためにも、ご自宅に帰っていただくという強気な姿勢で感染対策と向き合っています。
みなさんの協力もあり、今のところアウトブレイク(感染拡大)もなくインフルエンザ流行期を乗り越えて来ることができました。
緊急事態宣言発出で完全に面会を制限

今では、“新型コロナウイルスとは何か”がわかって来ましたが、流行初期は私たちも何がなんだかわかりませんでした。
流行初期は、通常のインフルエンザ流行時期の面会制限を行なっていたので、その対応を継続していました。
しかし、日本でも感染者が増加し、緊急事態宣言が発出されるとなり、このタイミングで面会を完全に制限しました。
「スタッフの方は、母に会えるなんてずるくないですか?」
「コロナはただの風邪だと言ってましたよ」
と、このような状態でも感染対策にご協力いただけない方がいることに、正直驚きました。
緊急事態宣言解除後の面会制限
感染状況も落ち着き、緊急事態宣言の解除が近づいてくる頃から環境整備し、緊急事態宣言の解除後より面会を再開しました。
今までは、居室や面会室での面会を行なっていましたが、3密になってしまうため、3密にならないための面会スペースを設置しました。
アクリル板も設置し、面会時のマスク、フェイスシールドの着用も徹底しました。
面会時間も事前予約制にし、面会時間は10分間、1回の面会には2名までなど、今までの面会制限よりも厳しく制限しました。
この頃には、みなさんも新型インフルエンザについての理解が深まり、このような厳しい面会制限にも、混乱なくご協力いただくことができました。
再び感染者数が増加し、完全に面会制限
新しい面会のシステムが定着してきた頃、再び感染者数が増加。
近隣でのクラスター発生なども重なり、再び面会を完全に制限することにしました。
この頃から、オンライン面会の導入が課題となり、どのように運用していくか幹部と相談していきました。
オンライン面会のためのWi-Fi整備
「え!?そこから??」
と、思われた方が多いかと思います。
今時そんなところあるの!?と、私も思いましたが、ないのが当たり前だと、ネット環境がなくても仕事ができてしまうんですよね。
タブレット購入
ネット環境が整っていなかったので、もちろん、パソコンやタブレットなどはありませんでした。
ここで、コストの問題が発生しました!!
幹部はコストをかけたくないため、「1台しかタブレットは買わない!」というのです!!
複数の部署があるのに、面会用タブレットが1台しかないなんて、、、非現実的すぎます!!
面会用としてだけでなく、勉強用のツールとしても使用できることなどの活用方法を提案し、なんとか、各部署に設置できる台数の購入を許可してもらいました!!
オンライン面会開始!しかし、問題発生!

Wi-Fiの整備、タブレットの購入ができ、運用方法も決め、ついにオンライン面会がスタートしました。
しかし、ここで新たな問題が発生しました!!
なんと、オンライン面会ができない家族ばかりだったんです!!
どういうことかというと、
- ガラケーを使用している
- スマホを持っていない
- ネット環境がない
などの問題から、オンライン面会を活用できない家族ばかりだったのです!!
また、患者さんも家族も高齢で難聴の方が多く、タブレットからの音声が聞き取れない。。。
認知症の方は、タブレットの画面に映る人物を家族と認識できなかったり、まずこれがなんなのか認識できなかったり。。。
オンライン会議などをスムーズに行なっている方たちからしたら、想像もできないような問題が発生してしまったのです。
オンラインの意味がないオンライン面会

結果、現在どのように運用しているかと言いますと、オンラインの意味がないオンライン面会を行なっています(笑)
面会希望の方には、来院していただき、病院の面会スペースに設置してあるタブレットを使用していただき、各フロアにいる患者さんとタブレットを介して面会をしていただいています。
難聴で声が聞き取れなかったり、認知症で認識が難しい患者さんには、電話も合わせて使用し、面会をしていただいています。
スマホやネットを使いこなせる私達からしたら、
「オンラインの意味ないじゃん!!」
と突っ込んでしまう面会方法です(笑)
でも、患者さんも家族もとても喜んでくれています!
「今の時代はすごいわね!」
「これ、今なんでしょ??テレビ電話ってことでしょ??」
「顔が見れてよかったよ!」
と、普通の面会よりも盛り上がってるのでないかと思うこともあります!
導入検討時にはご注意を
感染対策のために導入したオンライン面会。
今回、導入、運用メンバーになったことで、色々な問題に直面し、勉強になりました。
正直、このようなオンライン面会は、普通の面会よりも手間がかかります。
でも、喜んでいる顔が見れることで、その手間も「ま、いっか」と思えました。
これから、オンライン面会の導入を考えている病院や施設の方もいらっしゃるのではないでしょうか??
この経験、学びが、皆さんのお役に立てば幸いです!