毎日のように“東京都の新型コロナウイルスの新規感染者数は〇〇人”と速報が流れるたびに、不安な気持ちになります。
それは、第1波でのこの出来事があるからかもしれません。
第2波は、第1波より小さかったため、「大丈夫でしょ!!」と思っている方も多いかと思います。
しかし、第3波は、冬季流行の感染症である、インフルエンザウイルス感染症との同時感染、同時流行が懸念されています。
中国武漢で、新型コロナウイルス感染症に感染した患者95例を対象に検査をしたところ、約半数がインフルエンザウイルス陽性だったというデータも発表されています。
また、あの時のような辛い状況にならないことを祈ります。
この出来事は、2020年4月のお話です。
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看護師になって15年目。
こんな経験は初めてです。
まさか、救急隊に泣きながら「ありがとう」って言われるなんて。
今までは普通だったことが、普通ではなくなってしまった医療現場を痛感しました。
これは、昨日の夜勤帯にあった出来事です。
医療現場が見えない人にも、現状を知ってもらえる機会になると思うので共有させていただきます。
夜勤での出来事
昨日、私は、救急当番でした。
特に、何も変わらない、いつもの夜勤と思っていたのですが。
搬送されてきた患者さんはどんな状態?

患者さんは、酸素マスクをした状態で搬送されてきました。
誤嚥性肺炎を繰り返している80代の方でした。
誤嚥性肺炎とは、、、
物を飲み込む働きを嚥下機能、口から食道へ入るべきものが気管に入ってしまうことを誤嚥と言います。誤嚥性肺炎は、嚥下機能障害のため唾液や食べ物、あるいは胃液などと一緒に細菌を気道に誤って吸引することにより発症します。(日本呼吸器学会より)
夕食の進み具合が悪いため、念のため熱を測ってみたところ、体温40度。
救急車を呼び、酸素飽和度(Spo2)を測定したところ、80%まで低下していました。
酸素飽和度(Spo2)とは、、、
肺から取り込まれた酸素は、赤血球に含まれるヘモグロビンと結合して全身に運ばれます。酸素飽和度(SpO2)とは、心臓から全身に運ばれる血液(動脈血)の中を流れている赤血球に含まれるヘモグロビンの何%に酸素が結合しているか、皮膚を通して(経皮的に)調べた値です。〈中略〉一般的に96~99%が標準値とされ、90%以下の場合は十分な酸素を全身の臓器に送れなくなった状態(呼吸不全)になっている可能性があるため、適切な対応が必要です。(呼吸器学会より)
酸素6リットルで95%をキープできるような状態でした。
救急隊の涙
救急隊から患者さんを引き受け、バイタルサイン測定などを行い、医師からの指示を受け検査へ。
その間、救急隊には、待機してもらいます。
「今から検査なので、もう少々お待ちください。」と声をかけると、
「本当に、ありがとうございます!!」と、救急隊の目には涙が!!
「え?なに?」
「この患者さん、救急隊の家族??」
私は、よく状況が飲み込めないまま、検査室へ。
すでに3時間たらい回し

検査中も救急隊の涙が気になっていた私は、救急隊の元へ。
「大丈夫ですか?」と声をかけると、救急隊から驚くべき事実が。
「○○病院(当院)に受けてもらえるまで、3時間かかったんですよ。」
「他の病院には、熱があると伝えると断られて。」
しかし、驚いたのはこれだけではありませんでした。
その前にも2時間たらい回し
「この患者さんの前にも、発熱の患者さんだったんですけど。」
「受け入れ病院が見つかるまで2時間かかったんですよ。」
今は、熱があると伝えると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を疑われ、受け入れを拒否されることが多々あるそうです。
私は、受け入れる側の立場のため、受け入れ先を探す側苦労を全然考えたことがありませんでした。
今まで、このような事例に当たったことがなかったことも事実ですが、自分のことばかり考えていたなと反省しました。
今、○○の救急要請が増加

受け入れ拒否も辛い事実ですが、もう一つ辛い事実を教えてもらいました。
それは、虐待、DVなど、傷害事件での救急要請の増加です。
ニュースでも報道されているように、休園、休校、外出自粛などにより、不安やストレスが増加し、虐待やDVが増えています。
もう少しで、殺人事件になってしまうような傷害事件も多いそうです。
もう、同じことが繰り返されてはいけない

看護師の離職、看護師不足は、元々問題視されていました。
それがさらに加速したのが、新型コロナウイルス感染症の大流行。
救急の患者さんを受け入れただけで、涙を流して感謝の気持ちを伝えてくれた救急隊。
患者さんを受け入れることなんて当たり前のこと。
でも、その当たり前が、もう、当たり前ではなくなってしまっていることを、改めて昨日の出来事で思い知ることができました。
国は、病床数を増やすことに必死ですが、病床数を増やしたところで、患者さんを観る看護師が確保されないことには、今と何も変わりません。
むしろ、看護師の労働環境が、今よりさらに悪化することしかイメージできません。
治る病気を治すことができない。
救える命を救うことができない。
そんな医療受け入れ体制にならないためにも、一人ひとりの感染対策への意識の引き締めが大切になります。
もう、同じことを繰り返さないために。